州政府ノミネーション技術移民(190・491) — 州別プログラムの仕組みとEOI・ROI手続き
独立技術移民(189)の招待が減少する中、実質的なルートとなった州政府ノミネーション(state nomination)。190・491ビザの仕組みとSkillSelectのEOI、州別ROI手続きを、公式情報源に基づいて整理しました。
独立技術移民(189)の招待が減少する中、実質的なルートとなった州政府ノミネーション(state nomination)。190・491ビザの仕組みとSkillSelectのEOI、州別ROI手続きを、公式情報源に基づいて整理しました。
オーストラリアの技術移民(General Skilled Migration)は、大きく独立技術移民(subclass 189)と州政府ノミネーション(state nomination)のルートに分かれます。ここ数年で189の招待数が大幅に減少したことで、実質的な技術移民のルートは、各州・準州が自地域に必要な人材を直接審査してノミネートする190・491ビザへと移りました。最大の特徴は、8つの州・準州(NSW・VIC・QLD・WA・SA・TAS・ACT・NT)が、連邦政府のビザ審査とは別に、それぞれの職業リスト・ストリーム・要件・受付開始時期を完全に独立して運営している点です。
190(Skilled Nominated)は永住ビザで、ノミネーションを行った州に一定期間居住・定着することが期待され、ポイントテストで+5点の加点を受けます。491(Skilled Work Regional (Provisional))は5年間の一時ビザで、指定地方地域(designated regional area)での居住・就労・就学を求める条件(condition 8579)が付く代わりに+15点の加点を受け、居住期間・所得などの要件を満たせば191永住ビザへ移行するルートが開かれています。どちらのビザも、州のノミネーションがなければ招待を受けられないという共通点があります。
標準的な手続きは、①職業が該当州のリストにあるか確認 → ②SkillSelectにEOI(Expression of Interest)を提出 → ③州別のROI(Registration of Interest)または独自ポータルで申請 → ④州ノミネーション(nomination)の承認 → ⑤Home Affairsからビザ申請の招待(invitation)を受領後にビザ申請、という順で進みます。最も見落とされやすいのが③のステップです。EOIを提出して待つだけでは審査すらされない州が多数あるため、応募したい州の受付方式を必ず確認する必要があります。
ROIは、SkillSelectのEOIとは別に、州政府独自のシステムに「自分を審査してほしい」と登録する手続きです。名称と方式は州ごとに異なり、ROIと呼ぶ州もあれば、独自ポータルでの申請やマトリックス方式(例:ACTのCanberra Matrix)を運営する州もあります。受付が常時ではなく特定の期間にのみ開く州もあるため、各州のマイグレーションポータルのお知らせとニュースレターの確認が欠かせません。
EOI・ROIに記載した職歴・点数と実際の証明書類が一致しない場合、ノミネーション拒否の理由になることがあります。提出前に、すべての情報の一貫性を必ず確認してください。
州政府のノミネーションを受けるには、連邦レベルの基本要件と州別の追加要件をすべて満たす必要があります。共通するのは、職業に対応した技術審査(skills assessment)の合格、公認英語試験のスコア、招待時点での年齢要件(45歳未満)、ポイントテストの最低点(65点)が基本で、具体的な基準は変更される可能性があるため、Home Affairsで最新要件を確認する必要があります。これに加えて各州が、州内での居住期間、就労期間、定着資金(残高証明)といった独自の要件を追加します。
州別要件は連邦の最低基準より高い場合が多く、会計年度ごとに変わることがあります。必ず応募時点の公式のお知らせを基準に準備してください。
8つの州・準州は、それぞれの労働市場の需要に応じてプログラムを設計しているため、ストリーム構成はすべて異なりますが、おおむね以下の4つのタイプに分かれます。どのストリームが現在開いていて、どのような条件が求められるかは、各州の公式マイグレーションポータルでのみ正確に確認できます。
該当州にすでに居住し、ノミネーション職業で就労中の申請者を対象とします。求められる居住・就労期間や雇用形態の基準は州によって異なります。
該当州の教育機関を卒業した留学生を優遇するストリームです。卒業後のビザ(subclass 485)で滞在しながら経験を積むルートと連動する場合が多くあります。
オーストラリア国外に居住する申請者を対象とし、主に需要の大きい特定の職業群に限定して運営されます。開放の有無と対象職業は、州別のお知らせで確認する必要があります。
指定地方地域(designated regional area)への定着意思やゆかり、地域の労働需要との適合度を見る、491中心のストリームです。地方地域での雇用オファーが要件となる場合もあります。
州政府ノミネーションは「一度準備して待つ」手続きではなく、会計年度のサイクルに合わせて能動的に管理すべき手続きです。以下の5つを習慣化すれば、チャンスを逃す可能性が減ります。
州政府ノミネーションで繰り返し見られる誤解とミスです。その多くは、「州ごとに異なる」という大原則を見落とすことから生じます。
190・491ビザの要件、SkillSelectのEOI、招待・申請手続きに関する連邦政府の公式案内です。
NSW州政府の技術移民案内 — NSWのノミネーションストリーム、職業リスト、受付開始のお知らせを確認できます。
ビクトリア州の公式技術移民ポータル — VICのノミネーションプログラムとROI手続き、受付開始時期を案内しています。
クイーンズランド州の公式マイグレーションポータル — QLDのノミネーションプログラムとストリーム別要件を案内しています。
南オーストラリア州の公式マイグレーションポータル — SAのノミネーションプログラム、職業リスト、申請手続きを案内しています。
190(Skilled Nominated)は永住ビザで、ノミネーションを行った州に一定期間居住・定着することが期待され、ポイントテストの加点は+5点です。491(Skilled Work Regional (Provisional))は5年間の一時ビザで、指定地方地域(designated regional area)での居住・就労条件が付く代わりに加点は+15点となり、要件を満たせば191永住ビザへ移行するルートがあります。どちらのビザも州政府のノミネーションがなければ招待を受けられません。
州によって異なります。多くの州はSkillSelectのEOIとは別にROI(Registration of Interest)や独自ポータルでの申請を求めており、この手続きを行わないと、EOIだけでは審査対象にならないことがあります。EOIを提出して待つだけでは進まない州が多数あるという点が、この制度で最も見落とされやすい部分です。応募したい州の公式マイグレーションポータルで正確な受付方式をご確認ください。
いいえ。ノミネーション(nomination)は州政府段階の承認にすぎず、ビザが承認されるかどうかは、Home Affairsが健康・身元・資格要件を別途審査して決定します。ノミネーションを受けた後でもビザが拒否される可能性があるため、「州のノミネーション」と「ビザの承認」は完全に別個の2つの段階として区別して理解する必要があります。
191(Permanent Residence – Skilled Regional)ビザは、491保持者が指定地方地域での居住期間や所得要件など所定の条件を満たした場合に申請できる永住への移行ルートです。通常、3年間のビザ保有期間と所得要件が挙げられますが、具体的な基準は変更される可能性があるため、必ずHome Affairs公式サイトで申請時点の最新要件をご確認ください。
一律の答えはありません。州別プログラムは、職業リスト、ストリーム構成、居住・就労要件、受付開始時期がまったく異なる形で独立して運営されているためです。本ガイドは制度の仕組みのみを案内しており、個人の状況にどの州・どのストリームが合うかの判断は、OMARA(MARA)登録の移民エージェントまたは移民専門弁護士にご相談ください。
通常、毎年7月前後に連邦政府が新会計年度の州別ノミネーション割当枠を配分した後、各州が順次プログラムを開放します。ただし、開放の時期と方式は年ごと・州ごとに異なり、配分後数週間から数か月かかることもあるため、特定の時期を断定することはできません。各州公式ポータルのお知らせやニュースレターを購読するのが最も確実な方法です。
190も491も、配偶者・子どもなどの家族を同伴申請者として含めることができます。ただし、家族もそれぞれ健康・身元要件を満たす必要があり、491の場合は同伴家族にも指定地方地域に関する条件が適用されることがあります。家族構成に関する詳細な要件は、Home Affairsの公式案内でご確認ください。