オーストラリア緊急時対応ガイド
命に関わるとき、どこに電話して何と言うか——000のかけ方から状況別の対処まで。
🚨 命に関わるときは必ず 000(Triple Zero)
警察·消防·救急はすべて000ひとつで繋がります。どの電話からも無料、24時間。英語が苦手でも大丈夫——下の通訳案内をご覧ください。
000のかけ方——何と言うか
000にかけると交換員が最初に「Police, Fire or Ambulance?」(警察·消防·救急のどれ?)と聞きます。この順序で進めてください。
- 1
安全な場所で落ち着いて000を押します。
- 2
「Police, Fire or Ambulance?」と聞かれたら必要なサービスを一語で——警察は「Police」、火事は「Fire」、けが·病気は「Ambulance」。
- 3
今いる場所を伝えます——番地、通り名、最寄りの交差点、地区(suburb)の順にはっきりと。
- 4
何が起きたか、けが人はいるか、交換員の質問に答えます。
交換員が切ってよいと言うまで、絶対に先に切らないでください。
112
携帯の補助緊急番号——000と同じコールセンターに繋がります(早くはなりません)。ロック中でもかけられます。
106
聴覚·言語障がい者用の文字緊急番号(TTY専用)。PPP=警察、FFF=消防、AAA=救急を入力します。
位置の伝え方
交換員は必ず場所を聞きます。正確なほど早く到着します。
- ✓番地 + 通り名 + 最寄りの交差点 + 地区(suburb)を伝えてください。
- ✓田舎·郊外では農場/敷地名とランドマーク·道路からの距離も伝えてください。
- ✓場所がわからなければ、周囲の店の看板·道路標識·バス停番号をそのまま読み上げてください。
公式無料アプリEmergency+を事前にインストールしておきましょう——GPS座標が画面に表示され、交換員にそのまま読み上げられます。位置情報サービスをオンにしておくとAMLで位置が自動送信されることもあります。
英語が難しいとき
緊急時——000で通訳を受ける
英語が話せなくても000に電話し、「Police」「Fire」「Ambulance」のいずれか一語だけ言って、そのまま電話を切らずに待ってください。オペレーターが通訳をつないでくれます。自分の言語を伝えることもできます(例:「Japanese interpreter」)。
非緊急の通訳——TIS National — 131 450
病院の予約、役所への問い合わせなど緊急でない通訳は131 450(24時間)に電話して言語を伝えると通訳者が繋がり、希望の機関に一緒に電話してくれます。医療機関など政府支援機関は無料です。ただし131 450は緊急番号ではありません——命に関わるときは必ず000を先に。
脅されて話せないときも切らないでください——沈黙そのものが交換員への異常信号になります。固定電話は登録住所が交換員の画面に自動表示されます。
状況別の対処
医療緊急(意識なし·呼吸困難·胸の痛み·大出血·脳卒中の疑い)
🚨 直ちに000 → 「Ambulance」。費用の心配は後で——命が最優先です。
命に別状のない症状はまずhealthdirect 1800 022 222(24時間看護師相談)に電話すると、救急外来かGPかを案内してくれます。軽症で救急外来に行くと4~8時間待つことがあります。
犯罪·盗難(強盗·暴行·侵入)
🚨 犯罪が進行中、または今危険なら000 → 「Police」。
すでに終わった事件(車·物の盗難、破損)は131 444(Police Assistance Line)に通報を。保険請求に必要なイベント番号(Eで始まる)を必ずメモし、現場の写真を残してください。
交通事故
🚨 けが人がいれば直ちに000。必ず車を止めてください——立ち去るとひき逃げ(犯罪)です。
相手と氏名·連絡先·ナンバー·保険情報を交換し(法的義務)、現場写真と目撃者の連絡先を確保してください。死傷者·レッカー·情報交換拒否の場合は24時間以内に警察へ届け出る義務があります。現場で「自分が悪い」と認めないでください——保険で不利になることがあります。
家庭内暴力·性暴力
🚨 今危険なら000。ビザ·永住権がなくても保護される権利があります。
1800RESPECT(1800 737 732、24時間無料·秘密厳守)で相談·支援を受けてください。SMS 0458 737 732。性暴力被害の際は洗ったり着替えたりせず(証拠保全)、最寄りの救急外来へ——警察への通報はあなたの選択で、急いで決めなくてかまいません。
メンタルヘルスの危機(自殺念慮·強い不安)
🚨 自分や他人の命が危ないときは直ちに000。
Lifeline 13 11 14(24時間、SMS 0477 131 114)、Beyond Blue 1300 22 4636。誰かが自殺をほのめかしたら一人にせず、そばで一緒に電話してください。
毒物·薬物の過剰摂取
🚨 意識がない、呼吸が苦しい、けいれんがあるなら先に000。
意識があり症状が軽ければ、まずPoisons Information 13 11 26(24時間)に電話して指示を受けてください。専門家の指示の前にむやみに吐かせず、何を·どれだけ·いつ摂ったか(製品の包装)を用意してください。
緊急番号まとめ
| 番号 | 状況 |
|---|---|
| 000 | 命に関わる緊急——警察·消防·救急(全国無料、24時間) |
| 112 | 携帯の補助緊急番号(000と同じ接続) |
| 106 | 聴覚·言語障がい文字緊急(TTY専用) |
| 131 450 | 通訳 TIS National——非緊急(24時間) |
| 131 444 | 警察の非緊急通報(Police Assistance Line) |
| 132 500 | SES——嵐·洪水の被害(州緊急サービス) |
| 1800 022 222 | healthdirect——24時間の看護師健康相談 |
| 13 11 14 | Lifeline——危機相談·自殺予防(24時間) |
| 1300 22 4636 | Beyond Blue——うつ·不安の相談(24時間) |
| 1800 737 732 | 1800RESPECT——DV·性暴力(24時間) |
| 13 11 26 | Poisons Information——中毒·毒物(24時間) |
★どの番号でも通訳を頼めます——「Japanese interpreter, please」。
よくある質問
000への電話は本当に無料ですか?▾
はい。固定·携帯·公衆電話のどこからでも無料で、残高ゼロやSIMなしの携帯でも繋がります。
救急車も無料ですか?▾
通話は無料ですが、救急車の搬送費用は州ごとに異なります——QLD·TASは住民無料、NSW·VIC·SA·WAは有料($400~2,000+)。ただし命に関わるときは費用を気にせず必ず呼んでください。民間保険のExtrasや救急車専用カバーで備えられます。
英語がまったくできなくても000にかけられますか?▾
はい。「Police/Fire/Ambulance」のうち一語だけ言って切らずに待てば、交換員が無料の通訳者を繋ぎます。位置情報サービスをオンにしておけば位置も自動送信されます。
上級ガイド — 応急処置から事故後の手続きまで
000への通報方法を覚えたら、次に知っておきたいのは、救急車が到着するまでに何をすべきか、ビザの身分を心配せずに助けを求められるのか、そして事故の後の法的手続きはどう進むのかということです。移民背景を持つ居住者が実際に直面する、一歩踏み込んだ疑問をまとめました。
緊急事態への対応 — 前・最中・後の基本措置
オーストラリアの応急処置の標準手順 — DRSABCD (Action Plan)
オーストラリアの応急処置教育では、DRSABCDの手順が標準として教えられています — Danger(周囲の危険確認)→ Response(反応の確認)→ Send for help(000への通報)→ Airway(気道)→ Breathing(呼吸)→ CPR(心肺蘇生)→ Defibrillation(除細動)。重要なのは、最初のステップが「傷病者」ではなく「救助者自身の安全確認」だという点です — 感電・車両・火災の現場にやみくもに飛び込めば、被害者が2人になってしまいます。St John Ambulance AustraliaとAustralian Red Crossの講習は、いずれもこの枠組みを採用しています。
CPRの基本原則 — 胸骨圧迫だけでも構いません (Compression-only CPR)
成人の場合、胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返し、圧迫のテンポは1分間に100〜120回です。人工呼吸に抵抗がある、または訓練を受けていない場合は、胸骨圧迫だけを続けることもオーストラリアの蘇生指針(Australian Resuscitation Council系のガイドライン)で認められています — 「完璧にできないから何もしない」のが最悪の選択です。000のオペレーターが電話でCPRをステップごとにコーチングしてくれるので、スピーカーフォンにして指示に従えば大丈夫です。
自動体外式除細動器 — 資格がなくても誰でも使えます (AED, Defibrillator)
AEDはショッピングセンター・ジム・駅・図書館などの公共の場所に設置されており、電源を入れると音声で手順を案内し、電気ショックが必要な場合にのみ作動するよう設計されています。「資格がないと触ってはいけない」というよくある誤解とは異なり、誰でも使用できます。周りに人がいれば、1人はCPR、もう1人はAEDを取りに行くという役割分担をしましょう。
やけど・出血・窒息 — オーストラリアの指針が母国と異なるポイント (Burns·Bleeding·Choking)
やけどは流水(冷たい水)で20分冷やします — 氷・歯磨き粉・バター・醤油などの民間療法は禁物です(healthdirect・St John共通の指針)。ひどい出血は、清潔な布で傷口を直接圧迫します。窒息については、オーストラリアの指針は「背部叩打(back blows)最大5回 → 胸部突き上げ(chest thrusts)最大5回」の繰り返しで、海外で広く知られている腹部突き上げ法(ハイムリック法、abdominal thrusts)はオーストラリアでは推奨されていません — 母国で習った方法と異なる可能性がある代表例です。
応急処置講習を受けられる場所 (First Aid Training — HLTAID011)
St John Ambulance、Australian Red Cross、Royal Life Savingなどが国家認定の応急処置コース(HLTAID011 Provide First Aid)を常時開講しており、TAFEでも受講できます。1日のコースで修了証が発行され、ビザの種類を問わず誰でも受講可能です。保育・建設など一部の職種では採用要件になっているため、職場が費用を負担してくれるケースも少なくありません。修了証は履歴書にも書けるので、仕事の準備と安全を同時に手に入れられる投資です。
助けても責任は問われません — 善意の救助者の保護 (Good Samaritan Laws)
オーストラリアのすべての州・準州には、善意で(in good faith)応急処置を行った人を民事責任から保護する法律の規定があります。「下手に手を出して訴えられたらどうしよう」とためらう必要は、ほとんどの場合ないと言えます。ただし保護範囲の細かい条件は州ごとに異なるため、原則は「訓練を受けた範囲内で、000のオペレーターの指示に従って」助けることです。
外国人(移民)特有の状況と法的保護
ビザの状態に関係なく000を利用する権利 (Emergency Services for Everyone)
000のオペレーターはビザの状態を尋ねませんし、警察・消防・救急は在留資格に関係なく出動します。寮の火災、職場での事故、命に関わる状況で「ビザがないから」「ビザ条件に違反して働いていたから」と通報をためらえば、自分と他人の命がさらに危険にさらされます。公立病院の救急外来(Emergency Department)も治療が先で、費用の請求は後です — Medicareがなくても、緊急治療そのものを拒否されることはありません。
犯罪被害の通報と身分が知られる不安 (Reporting Crime as a Migrant)
犯罪の被害者は在留資格に関係なく通報し、被害者支援を受けることができます。緊急通報を受けた警察の第一の任務は犯罪への対応であり、ビザの取り締まりではありません。それでも身分が心配な場合は、通報の前に無料のコミュニティ法律センター(Community Legal Centre)や各州のLegal Aidに匿名で相談することができます。身元を明かさない犯罪情報の提供は、Crime Stoppers 1800 333 000で可能です。
家庭内暴力とビザ — 「家庭内暴力条項」 (Family Violence Provisions)
オーストラリアの移民法には、パートナービザの手続き中に家庭内暴力が原因で関係が終わった場合でも、永住権の審査が継続され得る「家庭内暴力条項(family violence provisions)」があります(Department of Home Affairs管轄)。つまり「通報したらビザが終わる」という加害者の脅しは、事実と異なる可能性があります — ただし適用対象のビザや要件が定められているため、Legal Aidまたは登録移民エージェント(registered migration agent)への相談が必須です。よくある失敗は、加害者が見せる情報だけを信じて、助けを求めるのを諦めてしまうことです。
移民背景の被害者を専門に支援する機関 (Multicultural Victim Support)
家庭内暴力・性暴力の被害相談には、移民背景の被害者を専門とする機関があります — 例: ビクトリア州のinTouch(Multicultural Centre Against Family Violence)。文化・宗教・コミュニティの文脈を理解するカウンセラーが担当しますし、TIS Nationalの通訳者は職業倫理上の守秘義務を負っているため、「通訳のせいでコミュニティに噂が広まる」という心配から通訳を断る必要はありません。お住まいの州の専門機関については、1800RESPECTに通訳付きで問い合わせれば案内してもらえます。
職場の事故・賃金搾取の通報とビザの保護 (Fair Work Ombudsman)
Fair Work Ombudsman(FWO)はビザの状態に関係なく支援を提供すると公式に表明しており、2026年7月確認時点で、賃金搾取を通報したビザ保持者が、搾取に関連した労働条件違反のみを理由にビザを取り消されないようにする保護制度が運用されています(Strengthening Reporting Protections Pilot、および問題を解決する間の滞在を延長するWorkplace Justice visa 408)。職場での負傷に対する労災補償(workers compensation)もビザの種類に関係なく適用され得るので、州ごとの制度を確認してください。「不法に働いていたのだから、けがをしても権利はない」という考えが、最もよくある危険な誤解です。
応答時間の目安と到着前の心得
応答時間は地域と優先度で決まります (Response Time·Triage)
000の救急コールは、受付の段階で症状に基づいて優先度(triage)が付けられます。最優先(lights and sirensでの出動)は大都市では比較的速いものの、地方・郊外(rural/remote)では距離の関係で数十分以上かかることがあり、非緊急に分類されるとかなり待たされたり、healthdirectの看護師相談に案内されたりすることもあります。正確な統計は各州の救急サービスの年次報告書で公開されているので、「なぜ来ないのか」よりも「到着までに自分がやるべきこと」に集中するほうが生存率を高めます。
質問に答えても出動は遅れません (Pre-arrival Instructions)
オペレーターが質問を続けている間にも、出動指令はすでに出ていることが多いのです — 「質問はいいから早く来てくれ」と電話を切るのが最もよくある失敗です。オペレーターは到着までの間、CPRのコーチング、出血の圧迫、回復体位など段階的な指示(pre-arrival instructions)を出してくれるので、通話を維持して従ってください。状況が変わったら(呼吸停止など)すぐに伝え、切ってよいと言われるまで電話を切らないでください。
救急隊が早くたどり着けるようにする準備 (Helping Crews Find You)
通話の後は、可能であれば玄関のドアを開けるか解錠しておき、夜間は外灯をつけ、人手があれば1人が道路に出て救急車を誘導してください。ペットは別の部屋に隔離し、服用中の薬のリスト・パスポートなどの身分証・Medicareまたは旅行保険のカードを1か所にまとめておきます。アパートの場合は、棟・部屋番号とエントランスの暗証番号をオペレーターに正確に伝えることが、到着時間を左右します。
連絡が途切れた場合に備えましょう (Callback·Medical ID)
オペレーターに自分の電話番号を正確に伝えておけば、通話が切れてもかけ直してもらえます。スマートフォンのロック画面のメディカルID(iPhone)または緊急医療情報(Android)に、緊急連絡先(ICE, In Case of Emergency)・アレルギー・服用薬を登録しておくと、本人が意識を失っても救助隊が確認できます。英語でのやり取りが難しい家族がいる場合は、自宅の冷蔵庫など目につく場所に、住所・緊急連絡先・服用薬を英語で書いて貼っておくのも実証済みの方法です。
オーストラリアの緊急システムと母国(日本・韓国・中国・ベトナム)の文化の違い
機関ごとの番号ではなく000ひとつ (One Number for All)
日本は110(警察)/119(消防・救急)、韓国は112/119、中国は110/119/120、ベトナムは113/114/115と機関ごとに番号が分かれていますが、オーストラリアでは警察・消防・救急のすべてが000の単一番号です。切迫した瞬間に母国の番号を無意識に押してしまうミスは実際に起きているので、家族全員(特に子どもや高齢の方)が000を覚えるようにしてください。最初の質問「Police, Fire or Ambulance?」に一言で答えるところまでがワンセットです。
非緊急で000にかけてはいけない理由 (Misuse of Triple Zero)
000は、命・安全・財産に対する「今まさに進行中の」脅威専用です。騒音の苦情、落とし物、数日前に終わった事件、一般的な問い合わせで000にかけると、本物の緊急電話の接続が遅れますし、いたずらや繰り返しの誤用・乱用は処罰の対象になり得ます。非緊急は警察131 444、暴風・洪水の被害はSES 132 500、健康相談はhealthdirect 1800 022 222 — 「緊急かどうか迷ったら000、明らかに非緊急なら専用番号」が原則です。
救急外来は到着順ではなく重症度順 (Australasian Triage Scale)
オーストラリアの救急外来では、到着順ではなく重症度5段階の基準(Australasian Triage Scale)で診療の順番が決まります。自分より後に来た人が先に呼ばれるのは割り込みではなくシステムであり、受付に抗議しても順番は変わりません。正しい行動は、待っている間に症状が悪化したときにトリアージナース(triage nurse)へすぐ伝え直すこと — そうすれば優先度が再評価されます。
海外SIM・ローミング中の携帯でも緊急電話はつながります (Roaming·112)
海外SIMでローミング中でも、SIMが入っていなくても、画面がロックされた携帯電話からでも、緊急電話はかけられます。緊急電話は、契約している通信会社の電波が届かなくても、つながる他社のネットワークを経由して接続されるよう設計されており、GSM国際標準番号の112もオーストラリアでは000と同じコールセンターにつながります。ただしモバイル電波自体がまったくない奥地では不可能なので、遠隔地への旅行の際は衛星通信の手段や同行者との共有プランが必要です。
他人のために通報するのが当たり前です (Bystander Reporting)
オーストラリアでは、道で倒れている通行人、隣家から聞こえる暴力の音、隣の家から上がる煙のような「他人事」についての第三者通報が、ごく一般的で、むしろ期待される行動です。「下手に首を突っ込むと面倒なことになる」という母国流の心配とは違い、通報者の情報がむやみに公開されることはなく、善意の通報が問題になる仕組みではありません。確信がなくても大丈夫です — 判断はオペレーターがするので、迷うほどの状況なら、まずかけるのが正解です。
州(State)ごとの緊急サービスと連絡先の違い
救急車の運営主体が州ごとに異なります (State Ambulance Services)
NSW Ambulance、Ambulance Victoria、Queensland Ambulance Serviceなど、ほとんどの州では州政府が救急サービスを直接運営していますが、WAとNTでは非営利団体のSt Johnが委託運営しています。利用者から見れば通報方法(000)は全国共通ですが、料金体系・メンバーシップ制度・請求書の発行主体は州によって異なります。引っ越しで州が変わると、救急車の費用ルールも変わるという点を覚えておいてください。
救急車メンバーシップと「他州搬送」の落とし穴 (Ambulance Membership·Interstate Cover)
Ambulance VictoriaのメンバーシップやSt John WAのメンバーシップのように、年会費で搬送費をカバーする制度を運営している州があります。注意したいのは、自分の州では無料またはメンバーシップに加入していても、他の州を旅行中に救急車を利用すると相互適用の範囲が変わり得るという点です — 加入前に約款の州間(interstate)カバー条項を確認してください。民間医療保険Extrasの救急車カバーも州ごとに適用条件が異なるため、保険会社に自分の居住州を基準に問い合わせるのが安全です。
災害警報は州ごとの公式アプリで (State Emergency Apps·Fire Danger Ratings)
山火事・洪水の警報チャンネルは州ごとに異なります — NSWは「Hazards Near Me」アプリ、VICは「VicEmergency」アプリ、WAはEmergency WAウェブサイトなど、各州の公式チャンネルを使います。火災危険度は全国共通の体系(Australian Fire Danger Rating System)で、道路標識や天気予報に表示されます。山火事シーズンの前に自分の州のアプリをインストールし、居住地の周辺を監視区域(watch zone)に設定しておきましょう — 引っ越すと、前の州のアプリは新しい居住地の警報を出してくれません。
暴風・洪水の被害は000ではなくSES 132 500 (State Emergency Service)
屋根の破損、家屋の浸水、倒木といった暴風・洪水の「被害復旧」はSES 132 500です — 全国共通の番号ですが、実際の出動はNSW SES、VICSESなど州ごとのボランティア組織が担当します。命に関わる状況(急流に取り残されたなど)であれば、そのときは000です。冠水した道路は、車でも徒歩でも絶対に渡らないでください — クイーンズランド州政府のキャンペーン標語「If it's flooded, forget it」があるほど、オーストラリアの洪水死亡の代表的な原因です。
警察レポートとイベント番号の管理 (Police Event Number·Online Reporting)
非緊急の通報後に受け取るイベント番号(event number)は、保険請求・ビザ書類・法的手続きで繰り返し求められるので、写真を撮って保管してください。NSWなど一部の州では、オンラインポータルで軽微な事件の届出やレポートの照会が可能で、正式なレポートの写しの発行手続きと所要期間は州ごとに異なります。事件の直後に自分で時系列の経緯をメモしておくと(英語でなくても構いません)、後で供述の一貫性を保つのに役立ちます。
交通事故の法的手続きと保険請求
CTP保険がカバーするもの・しないもの (CTP·Green Slip)
すべての州で車両登録(rego)に義務付けられているCTP(Compulsory Third Party)保険は「人の負傷」に対する賠償専用で、車両・財産の損害はカバーしません — 車の修理には別途、総合保険(comprehensive)または第三者財物保険(third party property)が必要です。NSWではCTPを「Green Slip」という名前で別途購入し、他のほとんどの州ではrego費用に含まれています。「regoを払ったのだから事故が起きても全部補償される」というのが、移民にとって最もよくある、そして最も高くつく誤解です。
負傷補償の仕組みは州ごとにまったく違います (TAC·SIRA·MAIC)
VICはTAC(Transport Accident Commission)という単一機関が過失の有無に比較的かかわらず治療費を支援する仕組みで、NSWはSIRA(State Insurance Regulatory Authority)監督下の民間保険会社の体系、QLDはMAIC(Motor Accident Insurance Commission)監督下の民間CTP体系です。同じ事故でも州によって請求窓口と補償範囲が異なるため、まず自分の居住州の制度の名前から確認してください。制度を知らないために請求そのものをしないのが、最悪のシナリオです。
請求期限 — 思ったより早く締め切られることがあります (Claim Time Limits)
州によってはCTPの負傷請求の届出期限が短く定められている場合があり、NSWのように早期に届け出ると遡及補償の面で有利になる期限が存在する州もあるため、事故直後の速やかな申請が重要になり得ます。一般の損害賠償訴訟の時効は通常3年程度とされていますが、州・案件ごとに異なるので法律相談で確認する必要があります。「体が治ったらそのとき調べよう」と先延ばしにするのが最もよくある失敗です — 申請だけ先に済ませておくことは、訴訟とは別物です。
証拠と診療記録が請求のすべてです (Evidence·Medical Records)
警察のイベント番号、現場・車両の写真、目撃者の連絡先に加えて、事故当日または直後のGP・救急外来の受診記録が、後日の負傷請求の決定的な根拠になり得ます。むち打ち症(whiplash)のように数日後に現れる痛みもあるので、受診の際は必ず「交通事故(motor vehicle accident)による症状」であることを明示して記録に残してもらってください。事故直後に何ともないからと受診をスキップすると、「事故と負傷のつながり」の立証が難しくなる可能性があります。
法律相談 — まずは無料窓口から、No Win No Feeは条件確認を (Legal Aid·CLC)
各州のLegal Aid(例: Legal Aid NSW)や無料のコミュニティ法律センター(Community Legal Centre)で初期の法律相談を受けることができ、通訳(TIS National 131 450)付きでも利用できます。個人傷害専門の弁護士の「No Win, No Fee」契約は、敗訴時に弁護士報酬がかからなくても、相手方の訴訟費用など別途の負担が発生し得る仕組みなので、署名前に費用条項を必ず確認してください。保険会社が提示する初期の示談金(early settlement)は、署名すると追加請求ができなくなることがあるため、受け入れる前に法律相談を受けることをおすすめします。
事故後の心のケアも治療です (Post-accident Psychological Support)
事故後に運転への恐怖・不眠・不安が続くのはよくある反応で、GPにメンタルヘルスケアプラン(Mental Health Treatment Plan)を依頼すれば、Medicare支援のカウンセリングを受けられます(Medicare対象者の場合)。VICのTACのように、交通事故の補償制度が事故に関連する心理治療を補償範囲に含めているケースもあるので、該当する補償機関に問い合わせてみてください。危機レベルの不安・うつはLifeline 13 11 14(24時間)へ — 通訳の依頼も可能です。