ワーホリの6か月就労制限(Condition 8547)
1つの雇用主につき最長6か月 — どこまでが「同一の雇用主」なのか、どの業種なら許可なしに働き続けられるのか、許可申請はいつ行うのが有利なのかを、公式の基準に基づいて整理しました。
Condition 8547とは — 1つの雇用主につき6か月
ワーキングホリデービザ(subclass 417)とWork and Holidayビザ(subclass 462)には、「6か月就労制限(6 month work limitation)」と呼ばれるCondition 8547が自動的に付与されます。核心はシンプルです — <strong>同じ雇用主のもとで6か月を超えて働くには、原則としてHome Affairsの事前の書面による許可が必要</strong>だということです。ただし、許可が不要な自動例外が幅広く存在し、許可申請もタイミングによって結果が大きく変わるため、ルールを正確に知っておくことが重要です。
- 制限の単位は「ビザ全体の期間」ではなく、雇用主1か所につき6か月です。ワーホリ期間中に合計で何か月働くかに制限はなく、1つの雇用主との勤務期間だけが規制されます。雇用主を変えれば、新しい雇用主とのカウントは0から再スタートします。
- 勤務形態は問われません。フルタイム・パートタイム・カジュアル・シフト勤務はもちろん、無給のボランティア(voluntary work)も算定に含まれます。カウントは働いた時間や日数の合計ではなく、働き始めた日から経過した月数で数えます — 週に2日だけ働いても、途中で休んで戻っても、時間は同じように過ぎていきます。
- 制限はビザ単位で適用されます。セカンド・サードワーキングホリデービザを新たに取得すれば、同じ雇用主のもとで再び6か月働くことができます。つまり、最初のビザで6か月を使い切った職場でも、セカンドビザの発給後は新しいカウントで勤務を続けることが可能です。
- 許可や例外なしに6か月を超えて働くと、ビザ条件違反となります。条件違反はMigration Act 1958のs.116に基づくビザ取り消し(visa cancellation)の事由となり得るうえ、取り消し歴はその後のオーストラリアのビザ申請全般に不利に働くおそれがあります。
6か月はどう数えるのか — 「同一の雇用主」の判定基準5つ
1. 雇用主の単位 = 法的実体(法人・ABN)
「同一の雇用主」は、店名やブランドではなく雇用契約の法的な当事者が基準です。雇用契約書とペイスリップ(給与明細)に記載された事業体名とABN(Australian Business Number)で、誰が自分の雇用主なのかを確認することが出発点です。
2. 複数の支店 — 同じ法人なら合算
同じ会社のシドニー支店からメルボルン支店に移っても、運営法人が同一であれば1つの雇用主として合算されます。ただし、勤務場所が互いに異なり、1つの場所での勤務がそれぞれ6か月以内であれば、許可なしに働き続けられる自動例外に該当する場合があります(セクション3参照)。
3. フランチャイズ — 法人が異なれば別の雇用主
同じブランドの店舗でも、各店舗を運営するフランチャイジー(franchisee)の法人が異なれば別個の雇用主です。ブランドの看板ではなく、ペイスリップのABNが変わったかどうかで判断してください。逆に、本部直営の店舗間の異動は同じ法人である可能性が高く、合算されます。
4. labour hire派遣 — カウントは派遣会社ではなく「実際に働く事業場」基準
派遣会社(labour hire agency)を通じて働く場合でも、Condition 8547でいう「雇用主」は派遣会社ではなく実際に働くその事業場(農場・工場・ホテルなど)です。Home Affairsは「派遣会社がある事業場に配置すれば、その事業場で6か月働くことができ、同じ派遣会社が別の事業場に配置すれば、そこで改めて6か月働くことができる」と明記しています。したがって、同じ会社に所属していても、配置される事業場が変わればカウントは事業場ごとに新たに始まります。逆に、派遣会社・関連会社・下請け構造だけを変えて、同じ事業場の同じポジションで働き続けるという方法では6か月を超えることはできません — このような迂回は認められません。
5. 雇用主ごとの個別カウント — 複数の雇用主との掛け持ちが可能
制限は雇用主ごとにそれぞれ適用されるため、同時に2〜3か所で働いても、雇用主ごとに6か月ずつ別々にカウントされます。たとえば午前はカフェA、週末はレストランBで働く場合、2つのカウントは互いに影響しません。
許可なしに働き続けられる自動例外
- 複数勤務地への分散 — 同じ雇用主であっても互いに異なる場所(location)で働き、いずれの場所での勤務も6か月を超えなければ、別途の許可なしに働き続けることができます。全国に事業所を持つ会社で、地域を移りながら働くケースが代表例です。
- 植物・動物の栽培(plant and animal cultivation) — 果物の収穫、作物の栽培、畜産など、農業分野の栽培・飼育の業務は、オーストラリア全土のどこであっても、同じ雇用主のもとで6か月を超えて働くのに許可は不要です。
- 全国単位の指定産業 — 食品加工(food processing)、保健医療(health)、aged care・障害者サービス(disability services)、保育(childcare)、観光・hospitalityなど、政府が指定した産業の業務にはオーストラリア全土で例外が適用されてきました。ただし、この指定リストは時期によって調整されることがあるため、勤務前にimmi.homeaffairs.gov.auの「6 month work limitation」ページで最新のリストを必ず確認してください。
- Northern Australia限定の産業 — Northern Australiaでは、漁業・真珠採取(fishing and pearling)、植林・伐採(tree farming and felling)、建設(construction)、鉱業(mining)の分野に限り、同じ雇用主のもとで6か月を超える勤務が認められます。農業・食品加工・保健(医療)・aged care・障害者サービス・保育・観光・hospitalityはこのリストではなく、上記の全国単位の例外に含まれるためオーストラリアのどこでも適用され、地域を問う必要はありません。Northern Australiaの範囲は「南回帰線以北」という大まかな説明ではなく、Home Affairsが告示した郵便番号リストで確定されます — NTは全域が該当し、QLD・WAは指定された郵便番号のみが該当するため、勤務地の郵便番号をimmi.homeaffairs.gov.auの「6 month work limitation」ページで直接照合してください。
- 自然災害復旧(natural disaster recovery work) — 洪水・森林火災など、宣言された災害の復旧作業に従事する場合も、許可なしに6か月を超えて働くことができます。
例外に該当すると判断して働き続ける場合は、その根拠(業種、勤務場所、各場所での期間)を自分で立証できるよう、書面で残しておいてください。条件遵守の責任は雇用主ではなくビザ保持者本人にあり、「マネージャーが大丈夫だと言った」という言葉は根拠になりません。判断に迷う場合は、Home Affairsに直接確認するのが安全です。
6か月管理の実行チェックリスト
- 入社時に雇用契約書・最初のペイスリップで法的な雇用主名とABNを確認し、記録しておく
- 勤務開始日を記録し、6か月到達予定日を計算して最低30日前のリマインダーをカレンダーに設定する
- 直接雇用か派遣(labour hire)かを確認する — 派遣であっても6か月のカウントは派遣会社ではなく配置された事業場(host)単位で計算し、会社だけを変えて同じ事業場で働き続けることは迂回として認められない
- 自分の業種・勤務地域が自動例外に該当するかを、immi.homeaffairs.gov.auの6 month work limitationページで確認する
- 例外に該当しないのに働き続けたい場合は、6か月に達する前にHome Affairsのオンラインpermission request formを提出する
- 許可申請の受付控えと審査結果をメールなどの書面で保管し、ビザ条件そのものはVEVOで随時確認する
- 「現金払いで働き続けよう」「書類上は解雇して再雇用しよう」という提案は断る — 支払い方法にかかわらず勤務は算定され、違反リスクを負うのは本人である
- 状況が複雑な場合はOMARA登録の移民代理士(registered migration agent)に、賃金・不当解雇の問題はFair Work Ombudsmanに相談する
許可申請(permission request)とタイミング
自動例外には該当しないものの、同じ雇用主のもとで6か月を超えて働かなければならない事情がある場合は、immi.homeaffairs.gov.auのオンラインpermission request formで、Home Affairsに書面による許可を申請できます。Home Affairsは承認され得る理由を2つ公表しています — ① 常時フルタイムの勤務が認められるビザをすでに申請し、結果を待っている場合、② 本人の業務が雇用主にとって不可欠である場合(この場合は<strong>雇用主の支援letterを申請書に添付</strong>しなければなりません)。どちらにも該当しない場合は、許可を期待することは難しいです。また、<strong>申請の時点が6か月到達の前か後かによって、審査中に働けるかどうかが分かれます。</strong>
6か月到達「前」に申請した場合
6か月が終わる前に許可を申請すれば、審査が進んでいる間も同じ雇用主のもとで働き続けることができます。最も安全なルートなので、継続勤務の可能性が見えてきたら、到達予定日より十分に前(数週間前)に提出するのがよいでしょう。
6か月がすでに過ぎた「後」に申請した場合
6か月を過ぎてから申請する場合は、許可が下りるまでその雇用主のもとでの勤務を直ちに中止しなければなりません。審査中も働き続ければ条件違反が続くことになり、取り消しのリスクが高まります。「申請書さえ出せば働き続けてよい」という扱いは、事後の申請には適用されません。
自動例外に該当する場合
セクション3の例外に該当する場合は、許可申請そのものが不要です。その代わり、例外の根拠 — 業種、勤務場所、各場所での勤務期間 — をペイスリップやシフト表などで立証できるよう整理しておいてください。後日、ビザ審査や確認の要請があったときに、そのまま提示できるようにしておく必要があります。
雇用主が混乱を悪用する場合
6か月の直前に解雇したうえで、「現金払いで働き続けよう」「こちらでうまく処理しておいた」などと言って無許可の勤務へ誘導するパターンがあります。現金払いでも勤務として算定されるため、違反の代償は雇用主ではなく本人のビザに跳ね返ります。ただし、搾取を通報したビザ保持者を保護する制度があるので、通報をためらわないでください — 現在Home Affairsは、搾取に関連する就労関連のビザ条件違反を理由とする取り消しから保護するStrengthening Reporting Protections Pilotと、問題を解決する間に滞在を延長できるWorkplace Justice visa(subclass 408)を案内しています。保護には、参加機関または認証された第三者による搾取の確認、今後のビザ条件遵守の誓約などの要件があり、制度は変更される可能性があるため、通報の前にimmi.homeaffairs.gov.auの「Workers rights and visa reporting protections」ページで、現在適用されている制度を確認してください。
許可は自動的に承認されるものではなく、却下されることもあります。許可・例外なしに6か月を超えて勤務すると、s.116に基づくビザ取り消しの事由となり得るうえ、その後のビザ申請にも不利な記録として残ります。雇用主の口約束ではなく、Home Affairsの書面による回答のみを根拠に行動してください。
よくある質問
パートタイムで週2〜3日だけ働いても、6か月は同じように計算されますか?
はい。フルタイム・パートタイム・カジュアル・シフト勤務・無給のボランティアがすべて含まれます。Home Affairsは、6か月を働き始めた日から経過した月数で計算し、働いた時間や日数で数えるのではないと明記しています。したがって週に数日だけ働いても期間は同じように進み、途中で休んでも時計は止まりません。この制限はビザごとに個別に適用されるため、新しいワーキングホリデービザを取得すれば6か月は新たに始まります。個別の状況の正確な算定はimmi.homeaffairs.gov.auで確認してください。
同じブランドのフランチャイズの別の店舗に移ったら、6か月は最初からやり直しになりますか?
運営法人(ABN)が異なるフランチャイジーであれば別個の雇用主となるため、新たに6か月が始まります。一方、同じ法人が運営する直営店舗間の異動は合算されます — ただし、勤務場所が異なり、各場所での勤務がそれぞれ6か月以内であれば、複数勤務地に分散する例外が適用される場合があります。判断基準は看板ではなく、ペイスリップ(給与明細)に記載されたABNです。
セカンド・サードビザを取得すれば、同じ雇用主のもとで再び6か月働けますか?
はい。制限はビザ単位で適用されるため、セカンド・サードワーキングホリデービザが新たに発給されれば、同じ雇用主のもとで再び6か月働くことができます。なお、同じ農場での長期勤務については、8547の例外(plant and animal cultivation)とは別に、セカンドビザの資格である88日のspecified work要件を満たしているかを別途確認する必要があります — 詳しい基準は88日セカンドビザガイドを参照してください。
6か月の直前にいったん辞めて再雇用されれば、カウントはリセットされますか?
いいえ。同じ雇用主との勤務期間は累積で合算されるため、数日または数週間休んでから戻っても、以前の期間がそのまま加算されます。「書類上の解雇後に再雇用」という方法でカウントを巻き戻すことはできず、こうした提案はむしろ雇用主が制度を悪用しようとしているサインである可能性があるため、応じないでください。
すでに6か月を超えて働いていたことに後から気づいた場合、どうすればよいですか?
気づいた時点でその雇用主のもとでの勤務を直ちに中止し、勤務記録(開始日、ペイスリップ、事業場名・ABN)を整理してください。事後の許可申請は可能ですが、許可が下りるまで働くことはできません。自主的な是正とその後の対応戦略については、OMARA登録の移民代理士(registered migration agent)に相談するのが安全です。賃金未払いなどの搾取が絡んでいる場合は、Fair Work Ombudsman(13 13 94)への通報と併せて、現在運用されている通報者保護制度(Strengthening Reporting Protections Pilot・Workplace Justice visa 408)の適用可否をimmi.homeaffairs.gov.auで確認し、あわせて検討してください。