NDIS 障害支援(資格・プラン・サービス)
NDIS(National Disability Insurance Scheme、国家障害保険制度)は、永久的・重度の障害がある人に生涯にわたる支援を提供するオーストラリアの中核的な福祉制度です。オーストラリアに在住する外国人のうち、市民権者・永住権者・保護特別カテゴリービザ(SCV)保有者も、要件を満たせば申請できます。資格の確認から申請、プラン管理まで段階的にご案内します。
このページは一般的な情報案内であり、法律・移民・福祉の助言ではありません。NDISは2026年の制度改革が進行中のため、資格要件・手続き・金額・期限が変わる可能性があります。申請前には必ず公式サイト ndis.gov.au または 1800 800 110 で最新の内容をご確認ください。英語が難しい場合は、TIS 131 450 の無料通訳につなぐことができます。
NDISとは何ですか?
NDIS(National Disability Insurance Scheme)は、永久的かつ重度の障害がある人の日常・社会・経済活動への参加を助けるために資金を支援するオーストラリアの国家制度です。運営機関は NDIA(National Disability Insurance Agency)です。
- 対象 — 0〜64歳で加入し、永久的・重度の障害、または早期介入(early intervention)が必要な人
- 何を支援するか — セラピー(therapy)、補助器具、日常生活支援、自立・就労能力の強化など、個人ごとの「合理的で必要な(reasonable and necessary)」支援
- 費用 — NDIS自体は申請・参加に費用はかかりません。承認されたプランの資金でサービス費用を賄います。
NDISはMedicare(医療)やCentrelink(所得支援)とは別の制度です。オーストラリアに永住権の家族がいる場合、子ども・配偶者・親の障害支援にとって中核的な資源となり得ます。
資格要件 — 年齢・居住・障害
居住要件が核心です。NDISは、オーストラリアに住みながらオーストラリア市民権者であるか、永住ビザ(Permanent Visa)または保護特別カテゴリービザ(Protected Special Category Visa, SCV)の保有者でなければ申請できません。一時ビザ(学生・ワーキングホリデー・一時就労ビザなど)は原則として対象外です。
NDISの資格は① 年齢 ② 居住 ③ 障害(または早期介入)の3つをすべて満たす必要があります。
- 年齢 — 申請時点で満65歳未満でなければなりません。(すでに参加中であれば、65歳以降も継続して支援を受けられます。)
- 居住 — オーストラリアに居住しながら市民権者・永住権者・保護SCV保有者でなければなりません。「居住」とは、オーストラリアが生活の本拠であり、大半の時間をオーストラリアで過ごすという意味です。
- 障害要件 — 永久的な障害があり、その障害が日常活動への参加能力に相当な(substantial)影響を与え、生涯にわたる支援が必要となる可能性が高いこと。
- 早期介入要件(代替) — 今介入すれば将来必要な支援を減らしたり機能を改善したりできる場合、障害要件の代わりに早期介入要件で資格を見ることができます。(特に発達の遅れがある子ども)
資格が不確かな場合は、公式の資格チェックリスト(ndis.gov.au)で事前に確認するか、お住まいの地域のNDISパートナー(LAC)に無料で相談できます。
申請する — Access Requestと21日の決定
NDISの申請は Access Request(アクセス要求)から始まります。中核となる書類は Access Request Form(ARF)で、2つの部分に分かれます。
- Part 1(本人情報) — 申請者(または指名人)が記入します。個人情報、居住資格、障害とそれが日常に及ぼす影響を記載します。
- Part 2(補助証憑) — 治療を担当する医療・教育の専門家が記入します。診断名、障害の永続性、機能的な影響を臨床的に確認します。
申請方法 — 記入した用紙は次のいずれかで提出します。
- メール — [email protected]
- 郵送またはNDIS事務所への訪問
- 電話 — 1800 800 110 に電話して「電話によるAccess Request(Telephone Access Request)」を行うことができます。
用紙の記入や証憑の準備が難しい場合は、お住まいの地域のNDISパートナー(LAC・早期児童パートナー)に無料で手伝ってもらえます。
決定まで通常21日
NDIAは、必要な情報がすべて揃ったAccess Requestについておおむね21日以内の決定を目標としています。追加情報を求められた場合は、その分だけ期間が長くなることがあります。
承認されると参加者(participant)となりプラン作成の段階に進み、拒否された場合は決定理由とともに検討(review)を求められる手続きの案内を受けます。
承認後 — プランミーティングと助けてくれる人
NDISの参加者になると、プランミーティング(planning meeting)で目標と必要な支援を整理し、個人ごとのプランと資金を受け取ります。ミーティングを手伝い、プランを始められるようつないでくれる無料の支援スタッフがいます。
LAC(Local Area Coordinator)
LACはNDIAと契約した「Partners in the Community」機関に所属し、満9〜64歳の参加者の主な連絡窓口です。プランの理解・開始、サービスへの接続、プランの検討を無料で助けます。NDISの資格がなくても、情報・連携・能力強化の支援を受けられます。
Early Childhood Partner(早期児童パートナー)
満9歳未満の子どもは、早期児童パートナーが家族をNDISにつなぎ、早期介入支援を助けます。正式なNDIS参加の前でも、発達支援に関する案内を受けられます。(2026年の制度改革により、一部の軽度・中等度の発達支援は「Thriving Kids」など別の制度に移行 — 下記7項を参照)
プラン管理の3つの方式
プランが承認されると、資金をどのように管理するかを選択します。コントロール権と事務負担のバランスが異なり、1つのプランの中で項目ごとに組み合わせて使うこともできます。
Agency-managed(NDIA管理)
NDIAが資金を直接管理し、請求・支払いを処理します。事務負担は最も少ないですが、NDIS登録プロバイダー(registered provider)しか利用できず、選択の幅が最も狭くなります。
Plan-managed(プランマネージャーに委任)
本人が選んだプランマネージャー(Plan Manager)が予算管理と支払いを代行し、その費用はプランに別途の資金として追加されます。登録・未登録プロバイダーのいずれも選べるため、コントロール権と利便性のバランスが良好です。(NDIS価格表には従う必要があります)
Self-managed(自己管理)
本人(または指名人)が直接資金を管理し、プロバイダーに支払います。コントロール権が最も大きく、登録・未登録プロバイダーを自由に選べますが、領収書の保管・記録などの事務責任と時間負担が最も大きくなります。
英語が難しくても母国語で申請してください
英語が苦手でも、NDISの申請・問い合わせを母国語で進められます。NDISの参加者と保護者にとって通訳費用は無料です。
電話通訳 — TIS National(131 450)
TIS National 131 450 に電話して使用する言語を伝え、NDIS(1800 800 110)につないでほしいと依頼すればよいです。通訳者を通じて申請・問い合わせを進められます。
聴覚・言語の障害がある場合は、National Relay Service または TTY 1800 555 677 を利用できます。
NDISへ直接問い合わせ
NDISコールセンター 1800 800 110 は通常、月〜金の午前8時〜午後8時(現地時間)に運営されます。運営時間は変わる可能性があるので、ndis.gov.au でご確認ください。
2026年の制度改革 — 新フレームワークとThriving Kids
NDISは、より公平で一貫した制度を目指し、2026年から段階的に改革が進んでいます。主な流れは次のとおりです。
- 新フレームワークプラン(New Framework Planning) — 2026年半ばから、プラン作成の方法が変わり、個別の項目よりもより柔軟な予算(flexible budget)の構造へ移行します。
- Thriving Kids(基礎支援) — 満9歳未満の子どものうち軽度・中等度の発達の遅れや自閉症などは、NDISの代わりに「Thriving Kids」のような基礎支援(foundational supports)へ移行する予定です(2026年10月開始の予告)。支援の必要が大きい子どもは引き続きNDISで支援を受けます。
- 合理的・必要な支援の審査強化 — プランの適正性を高めるための審査が、新規加入者から段階的に適用される予定です。
改革の日程や詳細は変わり続けています。上記の日付・制度名は発表時点のものであり、ご本人やお子さんに適用される正確な内容は、必ず ndis.gov.au またはお住まいの地域のNDISパートナー(LAC)にご確認ください。
資格がない場合 — 代替策と次のステップ
NDISの資格がない、または申請が拒否されても、受けられる助けがあります。
- 検討の要求 — 決定に同意しがたい場合は、案内された手続きに従って決定の再検討(review)を求めることができます。
- LACの情報・連携支援 — NDISの参加者でなくても、LACは地域サービスの情報提供、連携、能力強化の支援を無料で行えます。
- 一般(主流)サービス — 病院・地域保健、学校支援、地方政府サービスなど、NDIS外の資源も併せて活用できます。
- 一時ビザの居住者 — NDISの対象でない場合は、加入している保険や居住する州(state)の障害・保健サービスの案内をご確認ください。
関連して併せてご覧いただくとよいガイドです。
公式出典リンク
- NDIS (1800 800 110)(新しいウィンドウで開く)
NDIS公式サイト — 資格、申請、プラン、管理方式の全般
- Am I eligible — NDIS(新しいウィンドウで開く)
資格確認 — 年齢・居住・障害の要件と資格チェックリスト
- How to apply — NDIS(新しいウィンドウで開く)
申請方法 — Access Request Formと提出手続きの案内
- TIS National (131 450)(新しいウィンドウで開く)
TIS National — 母国語の無料電話通訳(131 450)
- NDIS Quality and Safeguards Commission(新しいウィンドウで開く)
NDIS品質・安全委員会 — サービスの苦情・通報の窓口
- Department of Health, Disability and Ageing(新しいウィンドウで開く)
保健・障害・高齢省 — Thriving Kidsなど基礎支援の政策
上記のリンクはすべてオーストラリア政府の公式ページです。電話番号・メール・手続き・金額・期限は変わる可能性があるので、申請前に必ず ndis.gov.au で最新の内容をご確認ください。
よくある質問
永住権者やSCV保有者もNDISを申請できますか?▾
はい。オーストラリアに居住しながらオーストラリア市民権者であるか、永住ビザ(Permanent Visa)または保護特別カテゴリービザ(Protected SCV)を保有していれば居住要件を満たします。これに加えて、満65歳未満、永久的・重度の障害(または早期介入)の要件も併せて満たせば申請できます。学生・ワーキングホリデーなどの一時ビザは原則として対象外です。
NDISの申請や通訳に費用はかかりますか?▾
NDISの申請・参加自体に費用はかかりません。承認されたプランの資金でサービス費用を賄います。また、NDISの参加者と保護者にはTIS(131 450)の通訳費用も無料です。ただし、プラン管理の方式によっては、プランマネージャーの費用がプランに別途の資金として追加されます。
英語が難しいのですが、どうやって申請しますか?▾
TIS National 131 450 に電話して使用する言語を伝え、NDIS(1800 800 110)につないでほしいと依頼すれば、通訳者を通じて申請・問い合わせを進められます。聴覚・言語の障害がある場合は、National Relay Service や TTY 1800 555 677 を利用できます。
資格がない、または申請が拒否されたらどうすればよいですか?▾
決定に同意しがたい場合は、案内された手続きに従って再検討(review)を求めることができます。NDISの参加者でなくても、LAC(Local Area Coordinator)が地域サービスの情報・連携・能力強化の支援を無料で提供し、病院・地域保健、学校支援などの一般サービスも併せて活用できます。