一時滞在ビザ保持者の住宅購入(FIRB) — 承認手続き・手数料・空き家税申告
市民権・永住権のない一時滞在ビザ保持者がオーストラリアの住宅を購入するには、FIRBの事前承認が必要です。申請手続きと手数料、2025~27年の既存住宅購入制限、空き家税(vacancy fee)の年次申告義務まで、公式出典に基づいて整理しました。
FIRB承認とは — 誰が受ける必要があるか
オーストラリア市民およびオーストラリアに通常居住する永住者ではない「外国人(foreign person)」は、オーストラリアの住宅用不動産を取得する前に政府の事前承認を受けなければなりません。この制度を所管する審査機関がFIRB(Foreign Investment Review Board、外国投資審査委員会)であり、住宅用不動産申請の実際の受付・審査・管理(手数料、空き家税を含む)はオーストラリア国税庁(ATO)が担当します。核心となる原則は「契約より先に承認」ということです。承認なしで取得すると、強制売却命令やペナルティの対象になる可能性があります。
一時滞在者(temporary resident)とその他の外国人の区分
規定上、一時滞在者(temporary resident)とは、通常12か月を超える滞在を許可する一時滞在ビザ(学生・就労ビザなど)の保持者、または永住権申請が審査中の状態でブリッジングビザで滞在している人を指します。それ以外の海外居住の外国人(foreign non-resident)には、より厳しい規定が適用されます。一方、オーストラリア市民・永住者である配偶者と共同名義(joint tenants)で一緒に取得する場合、承認が免除される例外の仕組みがありますが、名義の形態や関係の要件などの条件があるため、必ず公式に確認する必要があります。ワーキングホリデーのようにビザ期間が12か月前後の場合、ご自身の分類が変わる可能性があるので、申請前に公式案内で確認してください。
申請手続きと手数料 — ATOオンライン申請
住宅用不動産のFIRB申請はATOの外国人投資家向けオンラインサービスを通じて行います。申請書の提出 → 手数料の納付 → 審査 → 条件が明記された無異議通知(no objection notification)の受領という流れです。法定審査期間は手数料の納付後から起算され、案件によっては延長されることもあるため、売買スケジュールに余裕を持って申請するのが安全です。
申請手数料 — 価格区分別、毎年7月1日にインデクセーション
申請手数料は購入価格の区分に応じて段階的に決まり、最も低い区分でも数千豪ドル規模で、価格が高くなるほど大幅に上がります。手数料は毎年7月1日に物価連動(インデクセーション)で調整され、既存住宅関連の手数料と空き家税は近年大きく引き上げられる傾向にあります。したがって特定の金額を覚えるよりも、申請時点の会計年度基準の公式手数料表(foreigninvestment.gov.au)を確認するのが正確です。
- 申請ルートの確認: 個別の物件を指定して申請する方式が基本ですが、一定期間内に住宅1戸の購入を認める免除証明書(exemption certificate)方式もあります — 適用条件は公式に確認を。
- 手数料の前払い: 手数料が納付されて初めて審査が始まります。価格区分ごとの金額を事前に確認し、原則として返金されない点を踏まえて慎重に申請してください。
2025~27年の既存住宅購入制限 — 今、何が可能か
現在最も重要な最新情報です。2025年4月1日から2027年3月31日まで、一時滞在ビザ保持者を含む外国人による既存住宅(established dwelling)の購入が原則として禁止されます。例外は住宅供給の拡大に貢献する場合など、ごく限られています。この期間は政府の方針により延長されたり早期に変更されたりする可能性があるため、契約を検討する時点で必ず公式サイトで制限の状況を再確認する必要があります。同じ期間、違反の取り締まりも強化される傾向にあります。
- 既存住宅(established dwelling): 2025-04-01~2027-03-31は購入が原則禁止。ご自身がごく少数の例外に該当するかどうかは、公式案内のみで判断してください。
- 新築住宅(new dwelling): デベロッパーから最初に販売される新築・オフザプランは、FIRB承認を受けて引き続き購入できます。
- 更地(vacant land): 定められた期限内に住宅用の建築を完了する条件付きで承認され得ます。期限は承認書に明記されます。
物件の種類別・4つのケース
一時滞在ビザ保持者の選択肢は、物件の種類と本人の状況に応じて4つに整理できます。種類ごとに承認の要否と課される条件が異なります。
FIRB承認で購入できる代表的な種類です。オフザプランを含みます。デベロッパーが免除証明書を保有する物件では個別申請が免除される仕組みがあるので、契約前に確認してください。賃貸制限などの条件は既存住宅より緩和される傾向にありますが、承認書を基準に確認する必要があります。
住宅用の建築を条件に承認を受ける種類です。承認書に明記された期限内に建築を完了しなければならず、着工せずに放置すると条件違反になります。建築計画と資金スケジュールが現実的かどうかを先に点検してください。
2025年4月~2027年3月の間、購入が原則禁止されている種類です。かつては一時滞在者が自己居住条件(賃貸禁止、離れる際に売却)で1戸取得することが可能でした。制限終了後の再開の有無と条件は、公式発表を確認してください。
永住権を取得して通常居住者になると、FIRB承認が不要になり、初めて住宅を購入する人向けの支援の道が開かれます(初めての住宅購入ガイドを参照)。一時滞在ビザの期間中に無理をせず待つことも、中立的に検討する価値のある選択肢です。
空き家税(vacancy fee)と年次申告義務
FIRBの枠組みで住宅用不動産を取得した外国人所有者には、空き家税(vacancy fee)と年次申告の義務が付いてきます。多くの所有者が「実際に住んでいるから関係ない」と誤解して申告を逃しますが、申告自体は居住の有無に関係なく毎年の義務である点が核心です。
- 183日基準: 年間(vacancy year)183日以上、居住するか賃貸(または真に賃貸可能な状態)で維持されていない場合、空き家税が課されます。賃貸は30日以上の単位の賃貸のみが認められる仕組みのため、短期宿泊の運営は要件を満たすとみなされない可能性があります — 詳細はATOの公式情報で確認を。
- 毎年の申告義務: 183日以上居住して納付する空き家税が0であっても、vacancy fee returnは毎年提出しなければなりません。申告と納付は別々の義務です。
- 申告時期: 各vacancy year(物件を占有する権利が生じた日を基準とする12か月)が終わった後、30日以内にATOオンラインで提出します。毎年同じ時期なので、カレンダーに繰り返しの予定として登録しておきましょう。
注意点とよくある失敗5つ
FIRB関連の失敗はコストが大きくなります。無承認での取得や条件違反は処分命令(強制売却)や民事・刑事のペナルティにつながる可能性があり、申告漏れは不要な賦課金を生みます。よく繰り返される失敗を5つ挙げます。
- 承認前の無条件契約の締結 — 「subject to FIRB approval」条項なしで契約すると、承認が下りなかった場合に違約リスクにさらされます。無承認のまま取得を完了すると、処分命令やペナルティの対象になり得ます。
- 空き家税申告(vacancy fee return)の漏れ — 「実際に住んでいるから払うものはない」と申告自体を省略してしまう失敗です。申告は毎年の義務であり、漏れるとペナルティや空き家税の賦課につながる可能性があります。
- 承認条件の違反 — 自己居住の義務、賃貸禁止、ビザ失効・出国時の売却義務、更地の建築期限などは、承認書に明記された内容が基準です。承認書を保管し、条件ごとの期限を管理してください。