休暇・年次有給の権利(NES) — Fair Work基準の労働者休暇
オーストラリアで働く労働者が受けられる法定最低休暇(NES) — annual leave・personal/carer's leave・parental leave・公休日などを雇用形態別にまとめました。
NESの休暇とは? ひと目でわかる概要
オーストラリアで働く労働者は、National Employment Standards(NES)という法定の最低労働基準によって保護されます。NESは、国の労働関係制度(national workplace relations system)に属する労働者に適用される最低限の権利で、複数の種類の休暇(leave)が含まれます。awardやenterprise agreement、労働契約はNESよりも良い条件を与えることはできますが、それを下回ることはできません。つまりNESは最低限の下限線です。
NESに含まれる主な休暇
主な休暇には、annual leave(年次有給休暇)、personal/carer's leave(個人・介護休暇)、compassionate leave(死別・重病の際)、parental leave(育児休暇)、family and domestic violence leave(家庭内暴力休暇)、public holidays(公休日)があります。これとは別に、long service leave(長期勤続休暇)はNESではなく各州・準州の法律で定められます。有給かどうかや日数は雇用形態によって異なります。
休暇の申請・処理の手順
休暇は種類によって申請・通知の方法が異なりますが、基本的な流れは似ています。まず自分の残りの休暇を確認し、雇用主に事前に申請・通知したうえで、承認と給与への反映を確認します。annual leaveは通常、事前の合意が必要で、personal/carer's leaveは体調を崩したときにできるだけ早く知らせる方式です。
annual leaveと個人休暇の申請の違い
annual leaveは通常、あらかじめ日付を決めて雇用主と合意し、雇用主は合理的な理由なく不当に拒否することはできません。personal/carer's leaveは予測が難しいため、できるだけ早く通知し、雇用主から求められた場合は医師の診断書などの証明(evidence)を提出しなければならないことがあります。
- payslipまたは人事システムでannual leave・個人休暇の累積(accrued)残高を確認
- 休暇の日付・理由を書面(メールなど)で事前に申請・通知
- 承認内容と、休暇後の給与・残高の差し引きをpayslipで確認
誰がどの休暇を受けられるか(資格)
受けられる休暇は雇用形態に大きく左右されます。full-time・part-timeは有給休暇が積み立てられ、casualは有給のannual leave・個人休暇がない代わりにcasual loadingを受け取ります。parental leaveなど一部の休暇には最低勤続期間の要件があります。
- full-time / part-time:有給annual leave・有給personal/carer's leaveが労働時間に応じて(比例して)累積
- casual:有給annual leave・個人休暇なし → 代わりにcasual loading(通常25%)+無給のcarer's/compassionate・有給の家庭内暴力休暇を利用可能
- parental leave(無給):申請時点で通常12か月以上継続して勤務した労働者(定期的・体系的に働いたcasualを含む)が対象
休暇の4つの種類
よく使われる代表的な休暇4種類をまとめました。日数・有給かどうかはNESの最低基準であり、award/enterprise agreementがより良い条件を与えることもあります。
full-timeは年4週間(特定のshift workerは5週間)、part-timeは比例。徐々に累積・繰り越され、未使用分は退職時に精算されます。casualは対象外。
full-timeは年10日の有給(part-timeは比例)。本人の病気・けが、または家族・同居人の世話に使用。繰り越されますが、退職時の精算は原則として行われません。
出産・養子縁組の際に最大12か月の無給、さらに12か月の延長を申請可能。資格要件を満たす必要があります。政府のParental Leave PayはServices Australiaで別途申請します。
家族の死亡・重病の際は1回につき2日のcompassionate leave、家庭内暴力の理由で年10日の有給休暇(すべての雇用形態)。公休日に休む権利・給与の権利もNESに含まれます。
休暇を確実に取るためのチェックリスト
権利を逃さないために、以下の項目を習慣のように確認してください。
- 毎回のpayslipで、annual leave・個人休暇の累積残高が正しく積み立てられているか確認
- ご自身に適用されるawardまたはenterprise agreementの名称を把握しておく
- annual leaveは事前に申請し、書面での承認記録を残す
- 体調を崩したときはできるだけ早く通知し、必要に応じて医師の診断書を準備
よくある誤解とミス
多くの労働者が混同しがちな点です。あらかじめ知っておけば損失を防ぐことができます。
- 誤解:「casualにも有給のannual leaveがある」→ いいえ。casualには有給のannual leave・個人休暇はなく、その代わりにloadingを受け取ります。
- 誤解:「個人休暇(病気休暇)も退職時にお金でもらえる」→ 未使用のpersonal/carer's leaveは原則として精算されません(annual leaveは精算されます)。
- 誤解:「long service leaveは全国で同じだ」→ 各州・準州の法律なので条件が異なります。居住する州を基準に確認してください。