Medicare & 健康保険ガイド
Medicareシステム、OSHC、OVHC、民間健康保険を理解しビザに合った保険を選択。
1. Medicare概要
Medicareは豪州の公的健康保険制度。市民権者と永住権者に無料/補助金付き医療を提供。
GP受診
Medicareシステム、OSHC、OVHC、民間健康保険を理解しビザに合った保険を選択。
Medicareは豪州の公的健康保険制度。市民権者と永住権者に無料/補助金付き医療を提供。
GP受診
Bulk Billing医院で無料
公立病院入院
無料(待ちあり)
PBS(処方薬)
$31.60自己負担上限
Medicare Levy
課税所得の2%
オーストラリアが相互医療協定(RHCA)を結んでいるのは11か国(ニュージーランド・アイルランド・英国・スウェーデン・オランダ・フィンランド・イタリア・ベルギー・ノルウェー・スロベニア・マルタ)のみです。母国が対象外なら一時ビザ保持者はMedicare資格がなく、別途保険が必要です。対象国ならServices Australiaで資格を確認してください。
| ビザタイプ | Medicare | 必須保険 | 推奨保険 |
|---|---|---|---|
PR 市民権/永住権 | なし | Private Health(MLS免除) | |
WHV ワーキングホリデー | なし(強く推奨) | OVHC | |
Student 学生ビザ(500) | OSHC(義務) | OSHC | |
Skilled 技術移住(482/494) | なし | OVHC / Private Health | |
Partner 配偶者ビザ(820/801) | なし | Medicare(暫定) | |
Tourist 観光ビザ | なし | 旅行保険 / OVHC |
年収$93,000以上でPrivate Hospital Coverがない場合追加課税。
$93K~$108K
1.0%
$108K~$144K
1.25%
$144K+
1.5%
31歳以降初加入で毎年2%追加(最大70%)。10年連続維持で解除。例:40歳初加入で20%。
30歳前に加入でLHC Loading完全回避。永住権取得後1年以内加入でLoading免除。
Medicareカードの取得からバルクビリングGPの探し方、緊急時の状況別の対応、薬代の節約、見逃しがちな無料の給付、保険・税金の最適化まで、オーストラリアの医療生活を一歩踏み込んで整理しました。医療制度はビザの種類や居住する州(state)によって異なり、金額や基準は毎年更新されるため、最終確認はServices Australiaやhealth.gov.auなどの公式機関の情報で行ってください。
パートナービザ(820)申請後にブリッジングビザで待機中の場合のように、永住権を「申請」した状態であれば、承認前でもMedicareに登録できるケースが多くあります。ビザ申請の受理証明とパスポートを用意して登録すると青色のinterimカードが発行され、有効期限が切れても審査が続いていれば更新でき、永住権が承認されれば緑色の正式カードに切り替わります。「永住権が下りるまで保険がない」と誤解してOVHCを不必要に維持し、保険料を無駄にしている例がよくあるので、ご自身のビザが先行登録の対象かどうか、まずServices Australiaで確認してみてください。
Medicareの登録は、MS004フォームにパスポート、ビザの証明、オーストラリアの住所を確認できる書類を添えて提出します。myGov経由のオンライン提出が基本ですが、書類に不安がある場合や家族単位での登録の場合は、Services Australiaのサービスセンターに出向いたほうが早いこともあります。処理後、カードは郵送されますが、カードが届く前でもMedicare番号が付与されれば受診に使えるので、オンラインアカウントか電話で先に番号を確認しましょう。配偶者や子どもを同じカードに載せるには、結婚証明書・出生証明書など関係を証明する書類を併せて提出します。
myGovアカウントにMedicareサービスを連携すると、Express Plus Medicareアプリでデジタルカードが使えるようになり、実物のカードがなくても受付で番号を提示できます。最もよくある落とし穴は、払い戻し(rebate)受け取り用の銀行口座を登録しておらず、診療費の払い戻しが滞り続けることです — アプリかオンラインアカウントで、まず口座を登録しておきましょう。アプリでは請求履歴や予防接種歴(Immunisation History Statement)の確認・出力もでき、学校やチャイルドケアの登録時に役立ちます。
カードの有効期限前に登録住所が最新になっていれば新しいカードが自動的に送られてくるため、引っ越しのたびに住所を更新することが更新管理の要です。紛失した場合はアプリか電話ですぐに再発行を申請でき、その間もデジタルカードで受診できます。新生児は病院で受け取る出生書類(Newborn Child Declaration)で親のカードに追加でき、15歳以上の子どもは本人名義のカードを別に作れます。カードの色は、緑=正式、青=interim(永住権申請中)、黄=相互医療協定(RHCA)の訪問者用と区別されています。
Medicareの資格がないワーキングホリデーや留学生などの一時ビザ保持者でも、IHI(個人医療識別番号)を取得できることはあまり知られていません。myGovで本人確認書類を使ってIHIを申請すれば、病院や検査の記録をMy Health Recordに連携でき、引っ越しやクリニックを変えても医療歴がつながり、新しいGPが過去の記録をすぐ確認できるため、検査の繰り返しを減らせます。記録の公開に抵抗がある場合は、記録ごとにアクセス制限をかけたり、My Health Record自体をオプトアウトすることも可能です。
Medicareは診療費の全額ではなく、政府が定める診療報酬(MBS schedule fee)を基準に、GP診療はその100%、専門医の外来は85%を払い戻します。クリニックが基準額より高く請求した場合、その差額(gap)は全額自己負担です。バルクビリングは、クリニックが払い戻し額だけを政府から直接受け取って完結する方式のため、窓口での支払い自体が発生しない点が異なります。診察直後に受付でそのまま請求すれば数日以内に登録口座へ入金され、アプリで領収書をアップロードする事後請求は処理に時間がかかることがあります。
2025年11月1日から、バルクビリングのインセンティブが子ども・コンセッションカード保持者からすべてのMedicareカード保持者に拡大され、全患者バルクビリングのクリニックには12.5%の追加支給(Bulk Billing Practice Incentive Program)が導入されたことで、無料のGPクリニックが増えつつあります。healthdirectのサービスファインダーや予約アプリ(HotDoc、HealthEngine)で「bulk billing」のフィルターをかけて検索すれば、近くのクリニックが見つかります。「mixed billing」と表示されているクリニックは患者や診療内容によって有料になることがあるので、予約時にご自身のケースがバルクビリングの対象かどうか、必ず電話で確認してください。
プライベートビリングのGPでの実際の負担額は、診療費からMedicareの払い戻しを差し引いた金額(gap)です。予約前に受付へ「診療費はいくらで、払い戻し後の自己負担はいくらか」と尋ねることは、informed financial consentと呼ばれる当然の権利なので、遠慮する必要はありません。同じ地域内でもクリニックごとにギャップが大きく異なるため、定期的に通うクリニックは2〜3か所を比較してから決めるのがおすすめです。
2023年に導入されたMyMedicareにかかりつけのクリニックを登録すると、そのクリニックでの長時間の電話診療(テレヘルス)の払い戻しなど、登録患者専用の特典が受けられます。myGovからオンラインで、またはクリニックの受付でその場で登録でき、登録しても他のクリニックの利用が制限されるわけではありません。引っ越しやクリニックを変えた場合は、新しいクリニックへ登録を移せば大丈夫です。任意の制度なので登録しなくても不利益はありませんが、ひとつのクリニックに継続して通うなら登録しておくほうが有利です。
オーストラリアでは、GPの紹介状(referral)なしで専門医を受診すると、Medicareの払い戻しを受けられません。GPが発行した紹介状は通常12か月、専門医が発行したものは3か月有効ですが、期限が切れたまま再診に行くと全額自費になるというよくある落とし穴があるので、再診前に有効期限を必ず確認してください。専門医は初診の報酬が再診より高くギャップも大きめなので、費用が負担であれば、GPに公立病院の外来クリニック(outpatient clinic)へ紹介してもらうよう頼む方法があります — 待ち時間は長いものの、費用負担は大きく減ります。
英語に不安がある場合は、GPや病院の診療で政府の無料通訳サービスTIS National(131 450)を利用できます。予約の際に「通訳が必要」と伝えれば、クリニックが診療中に電話通訳をつないでくれます。日本語をはじめ多数の言語に対応しており、患者本人に費用が請求されることはありません。医療のように誤解が危険につながる場面では、家族や子どもに通訳を任せるよりはるかに安全なので、言葉を理由に受診を先延ばしにしないでください。
GPの電話・ビデオ診療でMedicareの払い戻しを受けるには、原則として直近12か月以内にそのクリニックで対面診療を受けた履歴が必要です(一部例外あり)。オンラインで診断書やリピート処方を販売する民間サービスは便利ですが、Medicareの払い戻しがない自費サービスであることが多く、かかりつけクリニックのテレヘルスよりかえって高くつくことがあります。夜間や週末の急ぎの相談には、後述する1800MEDICAREの無料テレヘルスが代わりになります。
オーストラリアの救急外来(ED)は到着順ではなく、重症度5段階(triage category)で診療の順番を決めるため、軽症であれば数時間待ちが普通です。命に関わるときは000、判断がつかないときは1800MEDICAREの看護師相談、骨折疑いや裂傷のような準緊急ならUrgent Care Clinic — というように、状況別の最初の連絡先をあらかじめ決めておくとよいでしょう。公立病院の救急外来はMedicare保持者には無料です。「緊急ではないのにEDに行って半日を無駄にする」という失敗が、移住初期には最もよくあります。
骨折疑い・裂傷・軽いやけどのように「救急外来に行くほどではないが、GPの予約までは待てない」状態なら、Medicare Urgent Care Clinicで予約も紹介状もなしにwalk-inで診てもらえます。全国135か所以上(2026年時点、拡大中)が運営されており、全額バルクビリングなのでMedicareカードさえあれば無料です。早朝から夜まで長めに営業し、X線などその場での処置ができるところも多く、近くのクリニックはhealth.gov.auやhealthdirectで探せます。Medicareカードが必要なため、ワーキングホリデーなど対象外の方は、ご自身のOVHCがUCCの費用をカバーするかを先に確認してください。
2026年1月1日、従来のhealthdirectヘルプラインに代わって始まった1800MEDICARE(1800 633 422)は、24時間無料の看護師相談を提供し、平日の夕方6時から翌朝8時までと週末の全時間帯には、無料のGPテレヘルスへの接続まで行ってくれます。「夜中に子どもが熱を出したが救急外来に行くべきか」といった移住者に典型的な場面で、最初の電話先として最適です。電話相談自体はMedicareカードがなくても誰でも利用できます。
救急車にはMedicareが適用されず、ルールは州ごとにまったく異なります。NSWでは2025-26年基準で出動料$464にkmあたり$4.18が加算され、毎年7月に値上げされる一方、QLD・TASの住民は無料です。VICなどでは年$50前後のambulance membershipに加入しておき、それ以外の州では民間保険のextrasに含まれるambulance coverで備えるのが一般的です。コンセッションカード保持者は免除される州が多く、州をまたいで搬送された場合は、居住州のメンバーシップがカバーするかどうか約款を確認する必要があります。
公立病院の非緊急(elective)手術は、専門医が割り当てる臨床緊急度カテゴリー1〜3ごとの推奨期限に従って順番を待ち、州ごとの病院待機時間の公開サイトで手術別のおおよその期間を事前に確認できます。注意したいのは、待機がGPの紹介時点ではなく、専門医の評価を経て待機リストに登載された時点から始まるという「隠れた待ち時間」です。白内障や人工関節置換のように待機が長い手術は、民間病院とPrivate Hospital Coverの組み合わせが実益のある代表的なケースです。
公立病院に入院する際、民間保険があると「private患者として登録しますか?」と勧められることがよくあります。病院の収入にはなりますが、患者には保険のexcess負担が生じる一方で、治療内容はpublic患者と同じであることが多いのです。同意する前に、excessや追加費用が発生するのか、担当医の指名といった実質的なメリットがあるのかを書面で確認しましょう。断っても診療で不利益を受けることはありません。
2026年1月1日から、PBS処方薬の一般患者の自己負担上限が$31.60から$25.00に引き下げられ、コンセッションカード保持者は$7.70で2030年まで据え置かれます。PBSはMedicareカード保持者が対象のため、ワーキングホリデーや留学生など対象外の方は、同じ薬でも全額(private price)を支払います。処方箋にはPBS適用の有無が表示されるので、薬代が思ったより高い場合は、薬剤師にPBS処方かどうか確認してみてください。
1年間(1月〜12月)の家族単位のPBS薬代の累計が基準額(2026年は一般$1,748.20、コンセッション$277.20)に達すると、その年の残りの期間、一般患者はコンセッション価格($7.70)で、コンセッション患者は無料で薬を受け取れます。複数の薬局を使い分けていると集計されないことがあるため、Prescription Record Formで家族の支出を自分で記録・合算しておく必要がある場合があります。慢性疾患のある家族ほど、薬局を1か所に固定すると集計がずっと楽になります。
2023年に導入された60日処方制度により、血圧・コレステロール・糖尿病の薬など状態が安定した慢性疾患の薬(対象リストにある薬)は、1回の調剤で2か月分を受け取ることができ、自己負担と薬局へ行く回数を半分に減らせます。すべての薬が対象ではないので、GPに「この薬は60-day scriptにできるか」と聞いてみてください。処方箋のrepeats(繰り返し調剤できる回数)を読めるようにしておくと、次の診察までにあと何回調剤を受けられるかが分かります。
PBSに収載されていない薬や、対象外の方のprivate処方には政府の定価がなく、薬局が自由に価格を決めるため、同じ薬でも薬局によって数十パーセント違うことがあります。Chemist Warehouseのような大手ディスカウントチェーンのほうが近所の薬局より安いことが多く、電話で先に値段を尋ねるのはオーストラリアではまったく珍しくない文化です。薬剤師がジェネリック(後発医薬品)への切り替えを提案してきたら、有効成分が同じという意味なので価格差を見て判断すればよく、ブランドの維持が必要な薬は医師が処方箋に代替不可と記載します。
GPの予約なしで薬局で済ませられることが少しずつ増えています。インフルエンザやCOVIDなどのワクチン接種はほとんどの州で薬局接種が可能で、州によっては尿路感染症(UTI)の治療や経口避妊薬のリフィルを薬剤師が直接処方できる制度も広がっています。処方箋なしで薬剤師の判断により販売されるPharmacist Only Medicine(S3)というカテゴリーもあり、軽い症状の最初の相談先として薬局を活用できます。ただし認められる範囲は州ごとに異なるため、お住まいの州の基準を薬局で直接確認してください。
母国で服用していた処方薬は、TGAのtraveller's exemptionにより、原則として本人使用目的で3か月分まで持ち込むことができ、英文の処方箋か医師の所見書を携行する必要があります。向精神性の成分を含むものなど一部の薬は持ち込み自体に事前許可が必要なので、出国前にTGAのウェブサイトで確認してください。持ち込んだ分がなくなる前に、これまでの薬の情報を製品名ではなく成分名でオーストラリアのGPに持参し、オーストラリアの処方へ切り替えておくと安心です。同じ成分でも、オーストラリアではPBS収載の有無によって薬代が大きく変わることがあります。
GPにメンタルヘルス治療プランを作成してもらうと、心理士・精神科のカウンセリング最大年10回にMedicareの払い戻しが適用されます(Better Access制度)。通常は6回利用した後にGPのレビューを経て、残りの回数が使えるようになる仕組みです。カウンセラーによってはギャップが大きく、実質的に全額自費に近いところもあるので、予約前にバルクビリングまたはギャップの小さいカウンセリングを探すのが実利的なポイントです。移住初期のうつや不安はよくある問題であり、カウンセリングにもTIS通訳(131 450)を併用できます。
2025年7月1日から、従来のGPMP/TCAがGP Chronic Condition Management Planという単一の体系に統合されました。プランがあれば、理学療法・podiatry(足病医)・栄養士などのallied healthサービスを年5回までMedicareの払い戻しで利用できます。糖尿病や高血圧のように6か月以上続く疾患であれば対象になり得るので、まずGPにプランを相談してみてください。1回あたりの定められた払い戻し額よりサービス提供者が高く請求するとギャップが発生するため、予約時に自己負担額を確認しておくのがおすすめです。
Family Tax Benefit Part Aを受給している家庭などの0〜17歳の子どもは、CDBSにより2年間、上限額(2026年開始基準で$1,158)まで、検診・虫歯治療・抜歯といった基本的な歯科診療をバルクビリングで受けられます。資格は自動的に判定され、Medicareアプリで子どもの残りの限度額を確認できます。すべての歯科医院がCDBSをバルクビリングで受け付けているわけではないので、予約時に「CDBSのバルクビリングが可能か」を確認してください。矯正や美容目的の治療は対象外です。
National Immunisation Program(NIP)のスケジュールに含まれるワクチンは、Medicare保持者には無料です。海外から来た子ども・若者(20歳未満、一部の難民・人道ビザは成人も含む)には、抜けている接種を無料で追いつけるcatch-up制度があります。母国での接種記録を英文で用意してGPに持っていけば、オーストラリアの予防接種登録簿(AIR)へ移すことができます。AIRの記録は学校・チャイルドケアの登録や家族手当(No Jab No Pay)に連動するため、移住初期に整理しておくと何かと便利です。
大腸がんは45〜74歳に2年ごとに家庭用検査キットが自動送付され、乳がんは40歳から無料のマンモグラフィーを受けられ、50〜74歳には定期的な案内が届きます。子宮頸がん検査は25〜74歳が対象で5年周期、自己採取(self-collection)のオプションがあり、検診に抵抗がある方に有用です。いずれも無料の国のプログラムです。大腸がんのキットは登録住所に送られるため、引っ越し後に住所を更新しないと検診自体を逃してしまいます — 住所を最新に保つことが検診漏れを防ぐ鍵です。
Medicare保持者は、GPの紹介を受けて公立病院の産科クリニックに登録すれば、妊婦健診から分娩・産後ケアまで公立ルートが無料です。民間の産科専門医での出産は、保険があってもギャップが数千ドルに及ぶことがあります。Private・OVHC・OSHCのいずれも出産の保障には通常12か月の待機期間があり、「妊娠が分かってから加入」では間に合わないので、出産の予定があるなら加入時期を前もって計算してください。Medicareのない妊婦が公立病院で出産すると全額自費で高額の請求となるため、OSHCの学生の方は、ご自身の保険の出産保障の範囲と待機期間を必ず確認してください。
Medicareの資格がない一時ビザ保持者(ワーキングホリデー・留学生・482など)は、Services AustraliaでMedicare Entitlement Statement(MES)を発行してもらいタックスリターンに添付すれば、課税所得の2%にあたるMedicare Levyを全額免除されます — 移住者が最も見逃しやすい節税項目のひとつです。発行に最大8週間かかることがあるため会計年度が終わる前に早めに申請し、過去の年度で免除を逃していた場合は、申告の修正で遡って請求することも可能です。配偶者などの扶養家族も全員がMedicareの資格外であることが全額免除の条件になる点に注意してください。
2026-27会計年度のMedicare Levy Surcharge(MLS)の基準所得はシングル$105,000、家族$210,000(2人目以降は子ども1人につき+$1,500)で、区分に応じて1%・1.25%・1.5%が課されます。MLSは病院保険に入っていない「日数分」が日割りで計算されるため、年の途中で加入しても無保険期間の分はそのまま課されます。所得の算定は給与ではなく、fringe benefitsや申告対象のスーパー拠出などを合算した「MLS用の所得」基準のため、境界線上の所得の方は勘違いしやすいところです。基準を超えそうなら、会計年度が始まる7月1日より前に加入するのが最もすっきりします。
民間健康保険の保険料には、所得区分(MLSと同じ4区分)と年齢に応じた政府リベートが適用されます — 基本区分・65歳未満で約24.1%で、率は毎年4月1日に調整されます。保険料から即時に差し引いてもらう方式と、タックスリターンで精算する方式のどちらかを選べますが、所得区分を実際より低く申告していると、tax returnで受け取り過ぎた分を返すことになります。Tier 3(シングル$164,001以上)の所得の方はリベートが0のため、保険料を全額負担します。
2019年の標準化により、病院保険はGold/Silver/Bronze/Basicの4ティアに分かれ、ティアごとに保障する臨床カテゴリー(clinical categories)が定められています。excess(入院時の自己負担金)を高めに設定すると保険料が下がります。MLS回避目的の最安のBasic商品は、実際に入院した際にほとんど保障がなく、「税金は節約できても病院代はそのまま」というtrade-offを理解したうえで選ぶ必要があります。privatehealth.gov.auの標準情報書(Private Health Information Statement)を使えば、商品間の保障を同じ基準で比較できます。
永住権の承認やパートナービザの申請などでMedicareの資格が生じたら、OSHC/OVHCを解約して残り期間の保険料のpro-rata(日割り)払い戻しを請求できます。ただし、ビザ条件8501(健康保険維持義務)がまだ付いている間に解約するとビザ違反になり得るため、ご自身のビザ条件とMedicareの資格を先に確認してください。Lifetime Health Cover(LHC)の観点では、永住権取得後12か月以内に病院保険に加入すれば年齢ローディングが免除されるので、Medicareの登録と併せて民間病院保険への加入タイミングも一緒に計算しておくとよいでしょう。
保険会社による請求の拒否や払い戻しの遅延は、まず保険会社内部の苦情手続きを経て、解決しなければ民間健康保険を管轄するCommonwealth Ombudsmanに無料で申し立てることができます。保険会社を乗り換える際、同等以下の商品に移れば、すでに満たした待機期間が引き継がれる(portability)ため、待ち直す必要はありません。毎年4月1日の保険料値上げの時期が乗り換えの好機で、先に解約するのではなく、新規加入を確定させてから解約する順番を守ってください。